Mailchimp は無料プランがあり、有料プランも低価格ですから、一見するとお得に見えます。 メールマーケティングの世界では定評があることも考えると、サービス内容もそれなりに良いはずです。
しかし詳しく検証していくと、欠点が見えてきます。
無料プランは配信数や機能に制約があり、機能が似ている他社サービスと比べて Mailchimp の有料プランは高価格です。 さらに、Mailchimpは登録アドレス数の数え方が変わっているため、予想よりコストが高いということもあります。
登録アドレス数が多くても少なくても、大切なのはコストパフォーマンス。この記事では、Mailchimpの料金体系を分析し、実際に利用して詳しく検証しました。メールマーケティングのニーズに応えられるか判断するためにお役に立てば幸いです。
まとめ: Mailchimp の機能・価格
コストパフォーマンスは良いが、きちんと計算しなければ損をするかも
Mailchimp の料金プランは、無料、エッセンシャル、スタンダード、プレミアムプランの 4 つがあります。 非営利組織や慈善団体の場合は15%割引となり、2段階認証を設定すると最大3か月分の料金が10%オフとなります。
有料プランの場合、料金は登録アドレス数で決まります。アドレス数が多いほど高価格なのですが、登録アドレス数の数え方に注意が必要です。
登録アドレス数に次の 3 種類がカウントされます 。
登録者 :メーリングリストに登録した人。
登録解除者 :メーリングリストからオプトアウトしたが、広告や注文確認メールを受け取れる人。
非登録者 :アプリやサイトでビジネスとやり取りをしたが、メーリングリストには登録しなかった人。
登録者より登録解除者と非登録者の方が多い場合、実際にメールを配信する人数は登録アドレス数のほんの一部にすぎません。このようなケースでは損をする可能性があります。
エッセンシャルプランだと、登録アドレス数ではなくメールの配信数で料金が決まる契約もあり、場合によってはその方がお得かもしれません。ただし、一部の機能しか利用できないことにご注意ください。
では、Mailchimpの料金プランを1つひとつ詳しく見ていきましょう。
無料プラン
無料プランではブランドのデザインを自動生成する「クリエイティブ・アシスタント」を利用できます。
Mailchimpの無料プランでは基本的なメールマーケティング機能を利用できます。オーディエンスは1つ(登録アドレスを「オーディエンス」というグループに整理できます)、登録アドレス数は最大2,000件、登録者を追跡するための顧客関係管理ツール(CRM)も利用できます。また、登録者の行動に関連するキャンペーンメールを配信することも可能です。
無料プランでは毎月 1 万件のメールを配信できるため、登録者数と配信数が少ない場合に役立ちます。
テンプレートは約70種類が用意されており、メールキャンペーンやシングルステップの自動化に使用できます。また、「クリエイティブ・アシスタント」も利用でき、ロゴやブランドカラーをメールのデザインに反映できます。
Mailchimpの無料プランでは、登録者にさまざまな方法でアプローチするための機能が利用でき、メールマーケティング以外のニーズにも応えています。製品・サービスのサイトやランディングページの制作、ソーシャルメディアの広告・投稿の作成などが可能です。機能を実際に使った体験は
Mailchimpの完全レビュー でご覧になれます。
また、Square、Canva、Zapierなど250種類のアプリで機能を拡張できますが、他社と比べると連携できるアプリの数はかなり少ないでしょう。
Mailchimp の無料プランは魅力が満載ですが、競合他社の無料プランと比べると制約がかなり多いことが分かりました。
例えば、
AWeberの無料プラン ではダイナミックなメールコンテンツを作成できるので、登録者に関連するメールを配信でき、カスタマーサポートは24時間年中無休で対応しています。
一方、
Mailchimp は有料プランでなければこのようなサービスは利用できません。 Mailchimpの無料プランでは30日間しかメールサポートを利用できず、メールに対して登録者がどのように反応したか追跡できません。ダイナミックなコンテンツ、リード獲得のためのファネルの作成、ABテストなどの機能を利用したい場合はエッセンシャルプランへのアップグレードが必要となります。
また、カスタマーサポートに日本語で問い合わせることはできません。英語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、ドイツ語でしか対応していないからです。
エッセンシャルプラン
エッセンシャルプランは基本的なカスタマージャーニー機能があり、ワークフローの自動化を可視化できます。
エッセンシャルプランだと、配信したメールには Mailchimp のブランディングが表示されません。また、 3 つのオーディエンスを作成でき、 100 種類以上のメールテンプレートが利用できます。ユーザー数は 3 人です。 メールアドレスを5万件まで登録でき、配信数は毎月50万通となっています。なお、登録アドレス数が少ない場合は料金プランを調整することも可能です。例えば、登録アドレス数が1万件以下なら月間配信数は10万件となります。登録者数が少なめで週2回程度メールを送信したいのであればこのようなプランで十分でしょう。
エッセンシャルプランではカスタマージャーニービルダーも利用でき、マーケティングの自動化を可視化できます。 また、マーケティングファネルが用意されているので、効率よく自動化するのに便利です。さらに、ABテストで「成果が出るのはどのような件名、送信者名、送信時間なのか」を探る実験を行えます。
エッセンシャルプランは登録アドレス数によって料金が決まりますが、配信数に応じて支払うことも可能です。 その場合、クレジットを事前に購入することになります。メールを1通配信するごとにクレジットを1つ使用する仕組みです。配信数が少ない場合はお得ですが、長期的にはコストパフォーマンスが良いと言い切れないでしょう。また、配信数に応じた支払いについてはMailchimpのサイトに掲載されていないので、詳しくはアカウントをご覧ください。
エッセンシャルプランだと 24 時間年中無休のメールとチャットサポートを利用できます。 プレミアムプランにアップグレードすれば電話サポートも利用できますが、かなり高価格です。
メールまたはライブチャットで問い合わせられるのは便利でしょう。初めてMailchimpを利用するときは質問がたくさんあるかもしれませんから、プレミアムプランを選ぶ価値があるかもしれません。しかし、ほかのメールマーケティングツールを試した結果、
無料プランでも充実したカスタマーサポートを受けられることが分かりました。 AWeberの無料プラン なら電話、メール、ライブチャットでカスタマーサポートに問い合わせられるのです(24時間年中無休)。
スタンダードプラン
スタンダードプランのカスタマージャーニー機能を使えば複数のフローを作成できます。
Mailchimp のスタンダードプランでは最大 10 万件のアドレスを登録でき、登録アドレス数が多いの場合に便利です。 オーディエンスを5つ作成できるので、DTC(直販)とB2B(企業間取引)を整理するなど、ビジネスニーズに合わせてカスタマイズできます。また、ダイナミックなコンテンツや配信時間の最適化などの機能を活用して、最適なタイミングでメールを配信できるのも嬉しいポイントです。
スタンダードプランではメールマーケティングの自動化にも対応しています。カスタマージャーニー全体を見渡すことができ、フローや開始ポイントが複数ある自動化も可能です。
Mailchimp のカスタマージャーニービルダーはファネルを可視化するのに役立ちますが、競合他社だと似たような機能をより低価格で利用できます。
スタンダードプランでは登録者の行動に応じた自動化を設定できます。ターゲットを絞ったメッセージを配信してコンバージョン率が向上したいeコマースブランドにおすすめの機能です。
スタンダードプランは登録アドレス数が多い場合に役立ちますが、同じ価格帯の おすすめのメールマーケティングサービス と比べると今一つです。
欠点を見ていきましょう。
まず、5人のユーザーしか利用できないので大きなマーケティングチームには向きません。
一方、 ActiveCampaign のプロフェッショナルプラン の方が安く、 50 人まで利用できます から、大企業にもぴったりです。
多数のユーザーが利用でき、詳細な分析情報やテストに対応しているサービスが必要なら、スタンダードプランでは物足りなさを感じると思います。そのような場合はプレミアムプランの方がおすすめですが、かなり高価格で、料金を支払うほどの価値はありません。
eコマースが専門ならスタンダードプラン以上のプランが必要となり、有料アドオンもいくつか購入する羽目になるでしょう。例えば、注文確認やカゴ落ちなどのメールを送信するには、25,000通のクレジットが必要です(配信数によりますが)。また、到達性を上げるために月額$29.95(およそ3,000円)で専用IPを購入することもできます。
プレミアムプラン
プレミアムプランの多変量テストなら、8つの変量で実験を行えます。登録者に一番効果的なコンビネーションを探るために便利です。
プロ向けの機能を利用したい場合は Mailchimp のプレミアムプランをご利用ください。 法人レベルのプランなので最大20万件のアドレスを登録でき、オーディエンスの数は無制限です。
プレミアムプランでは高度なセグメンテーションが可能で、いくつでも条件を設定でき、オーディエンスの複雑な絞り込みにも対応しています。購買活動、メールキャンペーンに対する行動、サイトのエンゲージメント、デモグラフィック属性(推定)などで登録者を分類し、ターゲットを絞ってメールを送信できます。結果を出すために役立つでしょう。
大企業にとっては登録者の属性を分類できるのは重要な機能ですが、この機能のためだけにプレミアムプランに加入する価値はありません。
Sendinblueの無料プラン は高度な分類が可能で、サービス内容が充実しています。
Mailchimpのプレミアムプランなら多変量テストも実施できます。多変量テストとは、ABテストをさらに複雑にしたもので、最大3つの要素の組み合わせを試してキャンペーンの成果がどのように変わるか比較できます。より効果的にメールマーケティングの成果を出すために役立ちますが、Mailchimpでは自動化されたワークフローをテストすることはできません。やはりMailchimpではできることに限界があります。
法人向けプランの予算があるのであれば、 ほかのメールマーケティングツール を検討した方が良いでしょう。 例えば、
ActiveCampaignのエンタープライズプラン はカスタムレポートやカスタムドメインが利用でき、専門スタッフが対応してくれますから、サービス内容はMailchimpよりはるかに充実しています。到達度を最適化し、会社が必要としている分析情報を閲覧できるのが魅力的です。
登録アドレス数が20万件以上で、頻繁にメールを配信する場合、Mailchimpは配信数が多いプランを用意しています。プレミアムプランの機能を利用でき、ニーズに合わせて料金を調節してもらえます。ただし、興味がある方はMailchimpに直接問い合わせてください。
Mailchimp の料金比較表
Mailchimp の解約・返金方針
Mailchimp はアカウント閉鎖方針が厳しいことに注意
ほかのメールマーケティングツールと同様、Mailchimpのプランを解約しても返金してもらえない場合がほとんどです。システムエラーなどがあった場合は例外ですが、そのようなケースは稀です。
利用規約違反でアカウントを閉鎖された場合は返金してもらえません。 Mailchimp は利用規約がかなり厳しいため、違反しないように十分注意する必要があります。 Mailchimpの利用規約は長文ですが、加入前にしっかり読むべきです。アフィリエイト・マーケティングやマルチレベル・マーケティング(MLM)のためにMailchimpを使用することは禁止されており、以下のような製品・サービスを宣伝することはできません。
仮想通貨
医薬製品
ギャンブルサービス
信用情報の回復サービス
Mailchimp で宣伝できる製品やサービスはたくさんありますが、厳しく審査されることもあります。 以下のような製品やサービスを宣伝するとアカウントを厳しい検査を受ける可能性が高いです。
星占い
マッチングサービス
取引や株式市場に関するコンテンツ
不動産、住宅ローン、ローン
ビタミンや栄養補助食品などのサプリ
Mailchimpのプランは簡単に解約できます。
アカウント設定で Permanently delete this account (永久にアカウントを削除)をクリックすれば完了です。 ただし、ほかのメールマーケティングサービスに登録者や登録解除者のリストをアップロードできるよう、データをエクスポートするのをお忘れなく。
Mailchimpのプランの多くは年払いではなく月払いなので、1年分の料金を損することはありません。なお、月額料金ではなく、配信数に応じてクレジットを購入している場合、クレジットを返金してもらうことはできません。
Mailchimp のアカウントは年に 2 回一時停止できるため、節約したい場合にご検討ください。 一時停止中はメールを配信することはできず、再開するまで支払いが凍結されます。
MailChimp の代わりにおすすめのサービス
Mailchimpの無料プランは、配信数が少なく、自動化する必要がほとんどない場合に良いでしょう。中堅プランは手頃な価格で、カスタマージャーニービルダー、ABテスト、高度のターゲティングなどの機能を利用したい企業向けです。しかし、
ビジネスを一歩先へ前進させるための高度な機能は含まれていません。 高度なセグメンテーションや比較レポート、電話サポートなどは利用できないのです。このような機能を利用するには
高価格の企業向けプレミアムプランにお金を投じる必要があります が、はっきり言ってアップグレードする価値はないと思います。
ニーズに合ったメールマーケティングサービスを見つけるには
2023年におすすめのメールマーケティングサービス をご覧になるか、以下のサービスをご検討ください。
Sendinblue の無料プラン
制約が少なく、無料で使えるプラン が欲しい方はSendinblueをご検討ください。登録アドレス数は無制限で、1日に最大300通のメールを配信でき、注文確認メールの送信、SMSマーケティング、ワークフローエディタなどを活用できます。
GetResponse のプラスプラン
パワフルなメールの自動化機能、コンバージョンファネル などを利用したい方はGetResponseのプラスプランをご検討ください。自動化ビルダー、登録者の評価、ソーシャルメディア広告、eコマース、ファネルなどが利用できるので、営業やマーケティングの自動化に役立ちます。
Constant Contact の Email プラスプラン
Mailchimpの機能だけでなく、包括的なマーケティングサービスが必要な方はConstant ContactのEmailプラスプランをご検討ください。利用規約はMailchimpほど厳しくなく、メールマーケティング、自動化ワークフロー、ウェブサイトビルダー、eコマースツールが利用できます。
Mailchimp の価格は手頃ですが、法人向けプランは競合他社の方がおすすめ
Mailchimpの無料プランは役立ちますが、長期的にはおすすめできません。
無料プランで利用者を惹きつけ、メールマーケティングをセットアップさせ、無料プランで不十分になったら高価格なプランにアップグレードさせようとしているのです。しかし、Mailchimpのスタンダードプランやプレミアムプランにアップグレードするほどの価値はないでしょう。高価格なのにそれに見合った機能や特長がありませんし、
ActiveCampaign や GetResponse の法人向けプランの方がサービス内容が充実しているので、おすすめです。
よくある質問
Mailchimpの料金体系は?
Mailchimpは無料プランのほかに3つの有料プランがあります。登録アドレス数に応じて価格が決まりますが、分かりにくいのも事実です。登録アドレス数とは、登録者、登録解除者、非登録者の合計なのです。 登録解除者と非登録者が多いと損をします。また、登録アドレス数に上限があるのは競合他社も同じですが、Mailchimpは配信数にも上限があり、長期的に見ると高価格です。ほかのメールマーケティングサービス と比べると、かなりコストが高いでしょう。
Mailchimpは本当に無料で利用できますか?
Mailchimpは無料プランがありますが、利用できる機能や配信数に制限があります。詳しくはMailchimpの完全レビュー をご覧ください。カスタマージャーニーの作成、キャンペーンのABテスト・多変量テスト、充実したサポートなどを利用するにはMailchimpの有料プランへのアップグレードが必要です。Sendinblueの無料プラン の方が柔軟性の高いメールマーケティングツールを利用できます。詳しくはこちらをご覧ください 。
Mailchimpで何通のメールを無料で配信できますか?
Mailchimpの無料プランでは最大2,000件のアドレスを登録でき、毎月1万通のメールを配信できます。この制限を超過してしまった場合、ほかのメールマーケティングサービス をご検討ください。より高度な機能が利用でき、Mailchimpよりコストパフォーマンスが高いサービスをご紹介しています。